よくあるご質問ページ

パワハラの定義・該当性について

  • そもそもパワハラってなんですか?
    職場のパワーハラスメントとは、「職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの」であり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。 なお、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
  • どんな行為をされたら、パワハラですか?
    以下のような行為はパワーハラスメントとして挙げられます。ただし、これらは職場のパワーハラスメントすべてを網羅するものではなく、これら以外は問題ないということではないことに留意が必要です。

パワーハラスメントの行為類型

行動類型 具体例
1.身体的な攻撃 暴行・傷害
2.精神的な攻撃 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
3.人間関係からの切り離し 隔離・仲間外し・無視
4.過大な要求 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5.過小な要求 業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6.個の侵害 私的なことに過度に立ち入ること
  • パワハラの定義のうち、「職場」とはなんですか?
    事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれます。 たとえば、出張先、業務で使用する車中、取引先との打ち合わせの場所(接待の席も含む)等などは、「職場」にあたるといえます。 また、勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延長と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に行う必要があります。
  • パワハラの定義のうち、「労働者」とはなんですか?
    正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者をいいます。 また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇用する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。
  • パワハラの定義のうち、➀「優越的な関係を背景とした」言動とはなんですか?
    業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が、パワハラをしたとされる行為者(以下「行為者」という。)に対して、抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。
    • 【例】
    • ・職務上の地位が上位の者による言動
    • ・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの
    • ・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの
  • パワハラの定義のうち、➁「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」言動とはなんですか?
    社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、又はその態様が相当でないものを指します。
    • 【例】
    • ・業務上明らかに必要性のない言動
    • ・業務の目的を大きく逸脱した言動
    • ・業務を遂行するための手段として不適当な言動
    • ・当該行為の回数、行為者の数等、その態様や手段が社会通念に照らして許容される範囲を超える言動
    この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題行動の有無や内容・程度を含む当該言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性や心身の状況(※)、行為者の関係性等)を総合的に考慮することが適当です。
    その際には、個別の事案における労働者の行動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。
    なお、労働者に問題行動があった場合であっても、人格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然、職場におけるパワーハラスメントに当たり得ます。
    ※ 「属性」・・・・・(例)経験年数や年齢、障害がある、外国人である 等
    「心身の状況」・・(例)精神的又は身体的な状況や疾患の有無 等
  • パワハラの定義のうち、➂「就業環境が害される」とはなんですか?
    当該言動により、労働者が身体的又は精神的に苦痛を与えられ、就業環境が不快なものとなったために能力の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。 この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。 なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い身体的又は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。

パワハラ相談への対応について

  • パワハラの相談を受けたとき、どのように対応すればよいでしょうか 。
    • ➀相談者や関係者への印象や先入観を捨て、公正中立な姿勢で受け入れ、プライバシーを尊重し秘密を厳守する。
    • ➁相談者がどのような解決を望んでいるかを把握し、尊重する。
    • ➂問題をもみ消そうとしたり相談者を責めるような言動は厳禁。
    • ➃対応が困難と思われる場合は専門家につなげる。
    • ➄相談者にメンタルヘルス不調の兆候が見られる場合は、心療内科等の受診を促す、行為者から避難させるなど早急に対処する。
  • 相談者の話を聞くときはどういったことに気を付ければいいですか。
    以下のような点に注意しましょう。
    • ・相談者のプライバシーが確保できる部屋を準備する
    • ・相談者が冷静に話ができるよう心掛ける
    • ・相談内容の秘密が守られることを説明する
    • ・相談対応の全体の流れを説明する
    • ・相談者の話をゆっくり,最後まで傾聴する
    • ・事実関係を整理し,相談者とともに確認する
    • ・人事担当部署などに相談内容を伝え,事実関係を確認することや対応案を検討することについて同意を得る
    ※ 相談者から「死にたい」などと自殺を暗示する言動があった場合には,産業医などの医療専門家等へすみやかに相談する。
  • 相談者の話を聞くとき、何を聞けばいいのか教えてください。
    業務を遂行するに当たって、当該言動を受ける労働者が、パワハラをしたとされる行為者(以下「行為者」という。)に対して、抵抗や拒絶することができない蓋然性が高い関係を背景として行われるものを指します。 相談者の訴えたいことを自由に話してもらい、時間をかけて丁寧に聴くことが重要です。まず、相談者へ秘密の保持や相談によって不利益な取り扱いがないこと、本人の意思や希望を尊重することを伝えます。次の項目に沿って、これも本人の了解を得て記録を取りながら聴いていきます。
    • ➀行為者はだれか、相談者との関係
    • ➁問題行為が➅いつ、どこで、どのように行われ、相談者はどのように感じ、対応したか。
    • ➂行為者は他の人に対しても同様の行為はあるか。
    • ➃誰かに相談したか。
    • ➄問題行為の現在の状況と相談者の心身の状況
    • ➅どのような解決を望むのか。
    相談の終了に当たっては、担当者は必ず、相談内容や相談者の意向など聞き取ったことについて記録をもとに相談者に確認し、認識のずれがないようにします。相談者の意向を踏まえた解決方法やこれからの手順、当面の対処の仕方などを説明します。※相談受付票例はこちらへ

パワハラの有無の調査について

  • 相談があったパワハラ行為の有無について、どのような調査をすればいいですか?
    次のような調査を行いましょう。
    • ・行為者への聴き取り調査
    • ・第三者への聴き取り調査
    • ・証拠資料の収集 等
    なお、聴き取り調査を行う場合は、必ず記録化するようにしましょう。

    聴き取り票例はこちらへ(出典:明るい職場応援団サイト)

  • 行為者に事情を聴く場合、どのような対応をしたらよいのでしょうか。
    • ➀行為者への面接の実施や方針については、必ず相談者の同意をとる。
    • ➁面接の目的を説明し、行為者の同意を得る。
    • ➂プライバシー保護を伝える。
    • ➃名誉や尊厳を傷つけないよう留意し、加害者という決めつけや悪人扱いするような態度をとらない。
    • ➄弁明の機会は十分に与える。
    • ➅担当者は、虚偽や隠ぺいは許さないという毅然とした態度をとる。行為者に対して、相談者の割り出しや当事者同士で話し合う等の行為を禁止する。
    ※行為者聞き取り票例はこちらへ
  • 相談者と行為者の主張が一致しない場合、何を根拠に判断すればいいですか。
    このような場合、当事者の主張とは別に、客観的な資料がないかを確認しましょう。たとえば、ハラスメント等問題行為の録音・録画、行為について言及されたメール・業務指示書等が客観性が高い資料といえます。 これに加えて、当事者以外の第三者の供述も参考となります。もっとも、当該第三者と当事者との関係性には注意が必要です。たとえば、行為者と立場が同じであるような第三者では、行為者に寄った供述をする可能性がありますので、判断の決め手とするのは避けた方がよいでしょう。

調査後の措置について

  • 調査の結果、ハラスメントがあったと認められた場合、被害者にはどのような措置を講じたらいいか教えてください。
    • ➀被害者本人に希望を聞く
    • ➁被害者が加害者と同じ職場を希望しないなら,加害者を優先して配置転換する
    • ➂そもそも配置転換ができなければ,業務でペアを組ませない等最大限の配慮をする
  • 懲戒処分を行う場合の留意点を教えてください。
    • ➀ハラスメントが懲戒処分の対象となること、懲戒の事由、種類や程度を就業規則等に明記し、従業員全員に周知徹底させておく
    • ➁顧問弁護士などの専門かと相談の上、会社として事実認定をする。
    • ➂懲戒処分を行う前に、行為者に弁明の機会を付与する。
    • ➃行う予定の懲戒処分を、書面で交付する。
  • 過去に懲戒処分の対象となったハラスメント行為と、今回行われた行為を併せて重い懲戒処分としたいのですが、可能ですか。
    一度懲戒処分の対象とした行為について、その後再び懲戒処分の対象としてはいけません。ですので、どのような懲戒処分とするかを判断するにあたっては、過去に懲戒処分の対象となった行為は除外し、今回認められた行為についてのみを対象とする必要があります。 もっとも、懲戒処分内容の選択にあたっては、過去の懲戒処分歴を踏まえて、決定をすることは可能です。 なお、一度下した懲戒処分について、理由を追加したり差し替えたりすることもできません。懲戒処分を行う際は、どの行為について行うのか、はっきりと明示するようにしましょう。
  • 再発を防止するためには、どのような取組みが必要ですか。
    発生した事案を個人的な問題ととらえるのではなく、職場全体の問題として職場環境の改善をする取組みが必要です。
    • ➀「パワハラを許さない」という会社の方針を全従業員に再確認させる。
    • ➁発生原因を分析し、必要な防止対策を再検討する。
    • ➂社内で相談をしにくい雰囲気がないか、相談体制の状況を再検討する。
    • ➃管理職のマネジメント能力の向上を図り、アンガ-マネジメントやアサーション、パワーハラスメントにならない指導法などの研修を実施する。
    ※アサーション :相手の気持ちや考えを尊重しながらも、自分の気持ちや考えをその場に適切な表現で相手に率直に伝えるスキル
    ※アンガ-マネジメント :自分のアンガー(イライラや怒りの感情)を理解して癒したりポジティブな方向へ展開する等上手にコントロールするための手法

出典:明るい職場応援団(リンク:https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/)

ページトップ